万葉の草花#001「ツユクサ」

以前ブログのネタに困っていた時、「二十四節気」をテーマに更新することを思いつき、約1年間続けたことがありました。
見切り発車で開始して、途中適当な写真が見つからずに苦労することもありましたが、趣味の家庭菜園にも役立ったり、その後いくつかの仕事に繋がったり、結果的にはやって良かったなと思っています。
それから数年、再びブログの更新が滞りがちな今日このごろ。そこで新たなテーマを設定することにしました。
今回のテーマは「万葉の草花」。
ここでいう「万葉の草花」とは、日本最古の和歌集『万葉集』に詠まれた植物のこと。『万葉集』は全20巻、約4500首の和歌が収められており、そのうちの1500首に植物が登場します。桜や梅、萩、藤など、現在でも身近な草花が多く含まれているので、これなら写真も何とか用意できそうだし、挑戦してみようと思います。
まずは季節をひと巡りするまで更新を続けたいので、不定期にはなりますが、どうぞよろしくお願いします。
前置きが長くなりましたが、第一回目の今回は「ツユクサ」を選んでみました。
ツユクサは万葉集では「つきくさ(月草、鴨頭草)」の名で9首詠まれています。
つき草の 移ろいやすく 思へかも わが思ふ人の 言も告げ来ぬ
坂上大嬢(巻4‐583)
(歌意)私の恋しい人が何も言ってこないのは、つき草のように冷めやすい心を持っているからでしょうか
布に移ったツユクサの青色は、水で洗えば簡単に取れてしまうことから、「心変わり」「移ろう気持ち」「儚い命」に重ねて詠まれていることが多いです。
ツユクサ、大きい花弁の鮮やかな青色と下向きの小さい花弁の純白、蕊の明るい黄色、葉っぱの爽やかな緑色のコントラストが美しくも可憐でもありますよね。
この季節、朝早く(借りている)畑に行くと、群生したツユクサが陽光を受けてキラキラ咲いている光景に出会えるので、得した気分になります。
ちなみに万葉の草花をテーマにしようと思ったきっかけは、ひょんなことから参加した、とある流派の茶道教室でした。
茶道はよく「総合芸術」といわれますが、その理由を、私は教室に通う中で徐々に理解していきました。
作法や精神性、道具や着物の美しさ、和菓子の繊細さ。どれもが深い魅力を秘めていましたが、私が一番心惹かれたのは、毎回変わる床の間に飾られた素朴な草花たちでした。
あまりにも素敵だったので、ある日講師の先生に伺うと、その流派の決まりごとで、床の間に飾ることができるのは、万葉集に詠まれている草花のみとのこと。しかもそれらの多くは花屋さんでは手に入りにくいため、先生は自宅の庭で丹精込めて育てているのだとか。
すごいですよねぇ。茶道の奥深さの一端を垣間見た気がします。
約170種あるという万葉集に詠まれた草花。
私には育てることは難しいですか、気長に撮りためて更新していきたいと思います。
参考文献:「万葉の花100選」大貫茂(淡交社)

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巻頭連載「くらし二十四節気」の写真を担当しています。
こちらもとある万葉の花の写真です。
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